手動トラリピ

【手動トラリピ】通貨ペアの入れ替えを損切りなしでする方法。税金対策にも!

2018年から手動トラリピをしているネコキングです。

突然ですが、トラリピで運用している通貨ペアを変更したくなることってありますよね?

でも含み損を抱えてるから撤退できない。。

この記事を読めば、そんなお悩みが解決できると思います。

通貨ペアの入れ替えとは

通貨ペアの入れ替えとは、運用中の通貨ペア(以下「旧通貨ペア」といいます。)から撤退し、新たな通貨ペア(以下「新通貨ペア」といいます。)の運用を開始することをいいます。

この通貨ペアの入れ替えをする場合には、当然、旧通貨ペアのポジションを精算しなければなりません。

旧通貨ペアのポジションがあまり多くなければ普通にポジションを精算、つまり損切りすれば良いのかもしれません。

しかし、通貨ペアを撤退したいと思うのは、沢山のポジションを抱え、含み損が膨れ上がっているタイミングですよね。

トラリピは、含み損を抱えつつ決済利益をコツコツと積み上げる運用手法です。

極論、運用終了時に大量の含み損を損切りする位ならトラリピをする意味がないといえます。

では、沢山のポジションを抱えているときに通貨ペアの入れ替えをしたい場合、どうすればよいのでしょう。

答えは、ポジションの移し替えをすれば良いのです。

ポジションの移し替えとは

ポジションの移し替えとは、新通貨ペアの運用を開始する際に、旧通貨ペアで保有していたポジションと同量のポジションを建てることを言います。

このポジションの移し替えをすることによって、旧通貨ペアのポジションの精算が損切りではなく損出しになるのです。

損出しとは、含み損を抱えているポジションを一旦精算し、すぐに同量のポジションを建て直すことをいいます。損失を確定させ、利益を繰り延べる効果があることから、年末に税金対策で行われることが多いテクニックです。

通常、損出しは同一の通貨ペアで行いますが、これを通貨ペアの入れ替えに合わせて旧通貨ペアと新通貨ペアで行うのがポジションの移し替えです。

ポジションの移し替えの実例

実例として、2022年12月に僕が行ったポジションの移し替えを紹介します。

≪旧通貨ペア≫

通貨ペア ユーロ/円
保有ポジション量 30.1万通貨(売り)
含み損 約300万円
取引業者 auカブコム証券
移し替え作業直前のauカブコム証券のFX口座

≪新通貨ペア≫

通貨ペア ユーロ/ポンド
買いレンジ 0.655ポンド~0.800ポンド
売りレンジ 0.805ポンド~0.950ポンド
トラップ数 0.005ポンド毎に買い・売り各30本
入れ替え時レート 約0.858ポンド
取引業者 DMMFX

auカブコム証券で運用していたユーロ/円を撤退し、DMMFXでユーロ/ポンドの運用を開始しました。

ユーロ/円約30万通貨の売りポジションを精算し、ユーロ/ポンドで30万通貨の売りポジションを建てたわけです。

トラリピの設定の組み方はこちら

【初心者必見】手動トラリピ設定の組み方!ネコキングの設定も大公開手動トラリピで400万円以上の決済利益を出しているネコキングです。 僕は2018年の2月から手動トラリピを始め、色々な設定で試行錯誤し...

ここで重要なのは、新通貨ペアのポジションの建て方です。

新通貨ペアでも手動トラリピをするわけですから、その設定に合ったポジションの建て方をする必要があります。

結論からいうと、僕は「1万通貨売り×11本」と「19万通貨売り×1本」で計30通貨の売りポジションを成行注文で建てました。

この「1万通貨売り×11本」は、トラリピの先取りポジションです(以下「先取りポジション」といいます)。

また、「19万通貨売り×1本」の方は、旧通貨ペアの精算を損切りにしないためのポジションです(以下「損出しポジション」といいます)。

それぞれ簡単に説明します。

先取りポジション

先取りポジションは、新通貨ペアの設定に基づき、現在のレートより上のトラップ(売りゾーンの場合は下のトラップ)を先取りで建てるポジションです。

先程の僕の実例でいうと、新通貨ペアであるユーロ/ポンドの運用開始時のレートは約0.858ポンドでした。

この0.858ポンドはハーフ&ハーフの売りゾーンに位置していますので、0.858ポンドより下のトラップである0.805ポンド売り~0.855ポンド売りまで0.005ポンド刻み11本分のポジションを先取りで建てたわけです。

先取りポジションは、成行注文でポジションを建てた後、設定に応じた各トラップの決済レートを指値で注文します。

先取りポジションが決済された後は、それぞれのトラップ毎の通常の手動トラリピの流れになります。

通常の手動トラリピの流れの例

①0.845ポンド買いの決済成立

②0.855ポンド売り→0.845ポンド買いのイフダン注文発注

先取りポジションが決済された際には、設定に応じた利益(僕の設定では0.01ポンド×10000通貨)に加え、ポジションを先取りした分の利益も上乗せされることになります。

先取りポジションの考え方は、ポジションの移し替え時だけでなく、普通に運用通貨ペアを追加する場合や、新たに手動トラリピを始める際にも使えます。

スワップポイントや資金投入状況(設定上の必要資金の内いくら投入して運用を開始するか)に応じて、先取りでポジションを建てるか検討しましょう。

損出しポジション

損出しポジションは、ポジションの移し替えの際、先取りポジションだけではカバーしきれない量のポジションがある場合に建てるポジションです。

次の場合、損出しポジションは生じないことになります。

先取りポジションの量>旧通貨ペアのポジション量

損出しポジションに対しては、次の通りの利益額となるように計算して決済指値を注文しておきます。

損出しポジションの利益額

= ①旧通貨ペア精算時の損失額

– ②先取りポジションで取り返せる利益額

僕の例でいうと、①は約300万円、②は次のとおり約49万円なので、損出しポジションの決済レートは約251万円の決済利益が出るレートと設定すべきことになります。

②先取りポジションで取り返せる利益額

=0.028ポンド(11本の平均利幅)

× 11本 × 10,000通貨

× 約160円(ポンド/円のレート)

= 約49万円

損出しポジションでこの約251万円の利益を得るには0.082ポンドの差益を得れば良いという計算になります(251万円÷19万通貨÷約160円=0.082)。

損出しポジションの建値は0.858ポンドでしたので、決済は0.773ポンドに指値しておくということですね。

この例ではポンド/円のレートを160円で計算しています。

損出しポジションの決済価格が近づいて来たら、その時点のポンド/円のレートで再計算して指値注文を訂正するのもありです。

将来的に、先取りポジションと損出しポジションが決済されれば旧通貨ペアの損失を取り戻せることが解っていただいたと思います。

移し替えるポジション量について

ポジションの移し替えの際、新旧のポジション量は必ずしも同じ量にする必要はありません。(特にクロス円通貨ペアとクロス円以外の通貨ペアの移し替えの場合)

例えば新旧の必要証拠金の額が同一になるように新通貨のポジション量を算出しても良いと思います。

その場合には、損出しポジションのポジション量と決済レートを調整しましょう。

ポジションの移し替えをするタイミング

前述のとおり、ポジションの移し替えは、異なる通貨ペアで損出しするテクニックでもあります。

ですので、ポジションの移し替えは、損出しと同様に、年前にその年の利益の範囲内で行うのがベターです。

年によって利益が出たり損失が出たりという状態だと、税金面で損をすることがあります。(損失の繰越制度についても押さえておきましょう)

また、扶養の範囲内や児童手当の貰える所得金額内に収まっておきたいという人も多いと思います。

損出し・益出しなどにより、各年の所得を平準化させることも重要です。

ポジションの移し替えのメリット・デメリット

これまで説明したとおり、ポジションの移し替えには、含み損がある通貨ペアのポジションを新たな通貨ペアに移行させられるという大きなメリットがあります。

通貨ペアの入れ替えのメリットの1つとして、スワップポイントが有利な通貨ペアに乗り換えられるという点があげられます。

僕の取引例でいうと、新通貨ペアのユーロ/ポンドは、旧通貨ペアのユーロ/円と比べてスワップポイントが非常に優秀だったというのも通貨ペアの入れ替えをした一因でした。

ユーロ円スワップポイントユーロ/円の売りスワップは-80円。30万通貨の保有コストは1日2,400円。
ユーロ/ポンド、スワップポイントユーロ/ポンドの売りスワップは+58円。30万通貨保有合の利益は1日当たり1,740円。

もちろんスワップポイントは各国の金利の変化等によって変わっていくものですのですし、ハーフ&ハーフで運用する以上、為替が「逆側のゾーン」に移行すればスワップポイントも逆転することに留意が必要です。

一方で当然デメリットもあります。

それは、トラリピ設定とは別に資金が必要になる場合があるということです。

具体的には、ポジションの移し替え時、損出しポジションが生じた場合にトラリピとは別の運用資金が必要になります。

先取りポジションのみで済む場合には、トラリピの運用資金の範囲内での対応となります。

先取りポジション = トラリピ運用の一部

損出しポジション = トラリピとは別の運用

前述の僕の例でいうと、ユーロ/ポンド0.858ポンドで19万通貨分の損出しポジションを建てました。

この損出しポジションについては、トラリピ設定とは別に約400万円の資金が必要となります。

約400万円の内訳(①+②)

① 想定レンジ(~0.950)の上限到達時の含み損 約280万円

(0.950-0.858)×19万通貨×160円(ポンド/円のレート)=2,796,800円

② 想定レンジ(~0.950)の上限到達時の必要証拠金 約115万円

0.950×19万通貨×160円÷25(レバレッジ倍率)=1,155,200円

なお、この金額はユーロ/ポンドの想定レンジを0.95が上限であり、その際のポンド/円のレートが160円であると、それぞれ仮定して算出した必要資金の最大額です。

実際に、ここまでの資金は必要ないかもしれませんし、逆に、この金額で足りなくなる可能性もあります。

まとめ

この記事では、手動トラリピの通貨ペアの入れ替えについて、ポジションの移し替えを中心に解説しました。

  • 通貨ペアの入れ替え時にはポジションの移し替えをしよう
  • 移し替えたポジションには先取りポジション損出しポジションがある
  • 先取りポジションの考え方は入れ替え時以外にも活用できる
  • 損出しポジションを建てる場合にはトラリピとは別に資金が必要

通貨ペアの入れ替えを柔軟に対応できるのも手動でトラリピをすることのメリットの1つですね。

それでは良いトラリピライフを!