手動トラリピで400万円以上の決済利益を出しているネコキングです。
僕は2018年の2月から手動トラリピを始め、色々な設定で試行錯誤しました。
そして、手動トラリピはいける!という考えに至り、2020年1月から本格運用を行っています。
この記事では、僕の手動トラリピ設定を公開した上で、設定の考え方・組み方を丁寧に解説していきます。
ネコキングの手動トラリピ設定
さっそく、現在の僕の手動トラリピの設定を公開したいと思います。
最初に、僕が現在運用している通貨ペアは次のとおりです。
豪ドル/円 | 1セット | auカブコム証券 |
---|---|---|
カナダドル/円 | 1セット | DMMFX |
豪ドル/米ドル | 1セット | auカブコム証券 |
豪ドル/NZドル | 2セット | auカブコム証券 |
ユーロ/ポンド | 2セット | DMMFX |
表のとおり、5つの通貨ペアで計7セット運用しています。
このブログでは、「1円幅の間に1万通貨分の注文を並べる設定」の運用単位を1セットといいます。
1セットの例
1円毎に10,000通貨分の注文
0.1円毎に1,000通貨分の注文
それでは、通貨ペア別に設定を公開していきます。
豪ドル/円の設定
豪ドル/円は、次のとおりの設定で1セット(0.2円毎2,000通貨)運用しています。
買い | 売り | |
レンジ | 60.2〜85.0 | 85.2〜110.0 |
注文本数 | 125本 | 125本 |
注文間隔 | 0.2円 | 0.2円 |
注文数量 | 2,000通貨 | 2,000通貨 |
利益幅 | 1円 | 1円 |
この設定の1セット当たりの必要資金は420万円ですので、0.1セット(1円毎1,000通貨)運用であれば42万円の資金で運用できます。
この長期チャートのとおり、豪ドルの価格は60円から110円の間で推移しています。
今後もこの範囲内で推移する可能性が高いと考え、この範囲を想定レンジとしています。
想定レンジ内全てにトラップを仕掛けていますが、真ん中の85円を境に、豪ドルが安いときは買い、豪ドルが高いときは売りの注文を並べています。
このような注文の並べ方をハーフ&ハーフといいます。
トラリピをする場合には、是非取り入れたいテクニックです。
ハーフ&ハーフにすると、同じレンジに買いのみ又は売りのみを並べるより、最大必要証拠金が半分となります。
さらに、最大含み損は4分の1となります。
話を豪ドル/円の設定に戻します。
買いレンジも売りレンジも25円幅、0.2円刻みで125本づつトラップを並べています。
注文数量は2,000通貨で利益幅は1円なので1回の決済利益は2,000円(±スワップ等)です。
利益額について
例えば、80円で成立した2,000通貨分の買いポジションが81円で決済されたときは、次のとおり2,000円の決済利益になります。
利益幅1円(80円→81円) × 2,000通貨 = 2,000円
なお、決済の際には、そのポジションを保有していた期間のスワップポイントが加減算され、一緒に精算されます。
ポジションと証拠金について
例えば、1豪ドルが80円のときに2,000通貨分の買いポジションを持つということは、次のように160,000円相当の豪ドルを保有するという意味を持ちます。
2,000豪ドル × 80円 = 160,000円
FXは、証拠金の25倍の取引ができるので、上記の注文をするのに必要な資金は6,400円です(160,000÷25)
参考として僕の豪ドル/円の運用実績を載せておきます。
- 2020年1月に1セット(0.1円毎1,000通貨)で運用開始(auカブコム証券)
- 2021年3月からは2セット(0.1円毎2,000通貨)で運用(auカブコム証券)
- 2022年6月からは1セット(0.2円毎2,000通貨)で運用(auカブコム証券)
- 運用38ヶ月で総決済利益 231万円
- 月平均決済利益 6.0万円
- 最大含み損 108万円
僕の豪ドル/円設定の1セット当たりの必要資金は420万円です。
手動トラリピの必要資金は、為替が想定レンジで推移する場合の「必要証拠金+含み損」の最大値で計算されます。
例えば、僕の豪ドル/円の設定では、為替が85円から110円まで推移したときに売り注文(ハーフ&ハーフの上半分の注文)が全て注文済となります。そのときの必要証拠金が110万円、含み損が310万円、合計420万円が必要資金となるわけです。
為替が想定レンジ内で推移しているうちは、口座に必要資金を入れておけばロスカットされることはありません。
しかし、為替が想定レンジから外れてしまった(下抜けした又は上抜けした)場合には、その設定の必要資金が口座に入金されていてもロスカットされる可能性が出てきます。
したがって、「必要資金を入金して運用」=「絶対安全」ではありませんのでご注意ください。
カナダドル/円の設定
カナダドル/円は、次のとおりの設定で1セット(1円毎10,000通貨)運用しています。
買い | 売り | |
レンジ | 71.0〜95.0 | 96.0〜120.0 |
注文本数 | 25本 | 25本 |
注文間隔 | 1円 | 1円 |
注文数量 | 10,000通貨 | 10,000通貨 |
利益幅 | 1円 | 1円 |
この設定の1セット当たりの必要資金は420万円ですので、0.1セット(1円毎1,000通貨)運用であれば42万円の資金で運用できます。
なお、僕はDMMFXで運用していますが、auカブコム証券なら1,000通貨単位で注文できるので0.1セットで運用することができます。
カナダドル/円の長期チャートを見ると70円から120円の間で推移していますので、この範囲を想定レンジとしています。
買いレンジは71円から95円、売りレンジは96円から120円のハーフ&ハーフ、それぞれ1円刻みで25本づつトラップを並べています。
注文数量は10,000通貨で利益幅は1円なので1回の決済利益は10,000円(±スワップ等)です。
参考として僕のカナダドル/円の運用実績を載せておきます。
- 2020年1月に1セット(0.1円毎1,000通貨)で運用開始(auカブコム証券)
- 2020年6月からは2セット(0.1円毎2,000通貨)で運用(auカブコム証券)
- 2022年4月からは2セット(0.5円毎10,000通貨)で運用(DMMFX)
- 2022年6月からは1セット(1円毎10,000通貨)で運用(DMMFX)
- 運用38ヶ月で総決済利益 191万円
- 月平均決済利益 5.0万円
- 最大含み損 159万円
豪ドル/米ドルの設定
豪ドル/米ドルは、次のとおりの設定で1セット(0.002ドル毎2,000通貨)運用しています。
買い | 売り | |
レンジ | 0.602〜0.850 | 0.852〜1.100 |
注文本数 | 125本 | 125本 |
注文間隔 | 0.002ドル | 0.002ドル |
注文数量 | 2,000通貨 | 2,000通貨 |
利益幅 | 0.01ドル | 0.01ドル |
この設定の1セット当たりの必要資金は504万円ですので、0.1セット(1円毎1,000通貨)運用であれば50.4万円の資金で運用できます。
豪ドル/米ドルの長期チャートを見ると0.6ドルから1.1ドルの間で推移していますので、この範囲を想定レンジとしています。
買いレンジは0.6ドルから0.85ドル、売りレンジは0.85ドルから1.1ドルのハーフ&ハーフ、それぞれ0.002ドル刻みで125本づつトラップを並べています。
注文数量は2,000通貨で利益幅は0.01ドルなので1回の決済利益は20ドル(±スワップ等)です。
参考として僕の豪ドル/米ドルの運用実績を載せておきます。
- 2020年1月に1セット(0.1円毎1,000通貨)で運用開始(auカブコム証券)
- 2020年11月からは2セット(0.1円毎2,000通貨)で運用(auカブコム証券)
- 2022年6月からは2セット(0.2円毎2,000通貨)で運用(auカブコム証券)
- 運用38ヶ月で総決済利益 158万円
- 月平均決済利益 4.1万円
- 最大含み損 435万円
豪ドル/NZドルの設定
豪ドル/NZドルは、次のとおりの設定で2セット(0.001ドル毎2,000通貨)運用しています。
買い | 売り | |
レンジ | 1.001〜1.150 | 1.151〜1.300 |
注文本数 | 150本 | 150本 |
注文間隔 | 0.001NZドル | 0.001NZドル |
注文数量 | 2,000通貨 | 2,000通貨 |
利益幅 | 0.01NZドル | 0.01NZドル |
この設定の1セット当たりの必要資金は151万円ですので、0.1セット(0.01NZドル毎1,000通貨)運用であれば15.5万円の資金で運用できます。
豪ドル/NZドルの長期チャートを見ると1NZドルから1.3NZドルの間で推移していますので、この範囲を想定レンジとしています。
買いレンジは1ドルから1.15ドル、売りレンジは1.15ドルから1.3ドルのハーフ&ハーフ、それぞれ0.001ドル刻みで150本づつトラップを並べています。
注文数量は2,000通貨で利益幅は0.01NZドルなので1回の決済利益は20NZドル(±スワップ等)です。
参考として僕の豪ドル/NZドルの運用実績を載せておきます。
- 2022年7月に2セット(0.01NZドル毎2,000通貨)で運用開始(auカブコム証券)
- 運用8ヶ月で総決済利益19.9万円
- 月平均決済利益 2.4万円
- 最大含み損53万円
ユーロ/ポンドの設定
ユーロ/ポンドは、次のとおりの設定で2セット(0.005ポンド毎10,000通貨)運用しています。
買い | 売り | |
レンジ | 0.655〜0.800 | 0.805〜0.950 |
注文本数 | 30本 | 30本 |
注文間隔 | 0.005ポンド | 0.005ポンド |
注文数量 | 10,000通貨 | 10,000通貨 |
利益幅 | 0.01ポンド | 0.01ポンド |
この設定の1セット当たりの必要資金は248万円ですので、0.1セット(0.01ポンド毎1,000通貨)運用であれば24.8万円の資金で運用できます。
ユーロ/ポンドの長期チャートを見ると0.65ポンドから0.95ポンドの間で推移していますので、この範囲を想定レンジとしています。
買いレンジは0.65ポンドから0.8ポンド、売りレンジは0.8ポンドから0.95ポンドのハーフ&ハーフ、それぞれ0.005ポンド刻みで30本づつトラップを並べています。
注文数量は10,000通貨で利益幅は0.01ポンドなので1回の決済利益は100ポンド(±スワップ等)です。
参考として僕のユーロ/ポンドの運用実績を載せておきます。
- 2022年12月に2セット(0.05ポンド毎10,000通貨)で運用開始(DMMFX)
ユーロ/円の設定(撤退済)
ユーロ/円は、次のとおりの設定で運用していましたが、2022年12月にユーロ/ポンドに乗り換えました。
買い | 売り | |
レンジ | 90.2〜120.0 | 120.2〜150.0 |
注文本数 | 150本 | 150本 |
注文間隔 | 0.2円 | 0.2円 |
注文数量 | 2,000通貨 | 2,000通貨 |
利益幅 | 1円 | 1円 |
この設定の1セット当たりの必要資金は627万円ですので、0.1セット(1円毎1,000通貨)運用であれば62.7万円の資金で運用できます。
参考として僕のユーロ/円の運用実績を載せておきます。
- 2020年11月に1セット(0.1円毎1,000通貨)で運用開始(auカブコム証券)
- 2021年3月からは2セット(0.1円毎2,000通貨)で運用(auカブコム証券)
- 2022年6月からは1セット(0.2円毎2,000通貨)で運用(auカブコム証券)
- 運用26ヶ月で総決済損益 -108万円(運用終了時に300万円を損出し)
- 運用中の月平均決済利益 7.3万円
- 最大含み損 486万円
ネコキングの手動トラリピ設定まとめ
僕の手動トラリピ設定を簡単にまとめます。
- 現在の運用通貨ペアは、豪ドル/円、カナダドル/円、豪ドル/米ドル、豪ドル/NZドル、ユーロ/ポンドの5種類
- 豪ドル/NZドルとユーロ/ポンドは2セット、他は1セットづつ、合計7セット運用
- 累計決済利益 454万円
- 月平均決済利益 約11.9万円
- 最大含み損 1,210万円
僕の運用実績の詳細が見たい方は次の記事をご覧ください。
2,000万円の必要資金で8セット運用を目指していますが、現在のところ1,400万円の入金で7セット運用しているという状況です。
必要資金については、各通貨ペアのところで説明しましたが、複数通貨ペアでの運用となると考え方が少し違ってきます。
この点については、次の「トラリピの設定の組み方4ステップ」の中で解説します。
トラリピの設定の組み方4ステップ
続いて、トラリピの設定の組み方を4ステップで解説していきます。
- ステップ1 運用方法を決めよう
- ステップ2 通貨ペアを決めよう
- ステップ3 仕掛けるレンジを決めよう
- ステップ4 投入資金を決めよう
ステップ1 運用方法を決めよう
最初に、トラリピの運用方法を決めましょう。
トラリピの運用方法には次の選択肢があります。
①本家トラリピ(ほったらかし運用したい方向け)
②手動トラリピ(運用コストを削減したい方向け)
③手動トラリピ×代用有価証券(さらに運用パフォーマンスを上げたい方向け)
以上の運用方法のなかから、自分の運用方針にあったものを選びましょう。
どの方法でトラリピを運用するかによって、運用のパートナーとなる業者の選び方も変わってきます。
本家トラリピがおすすめな人
ほったらかし運用をしたいならマネースクエアで行いましょう。
「トラリピをする」といえば、通常はマネースクエアが提供しているトラリピという自動売買サービスを利用してFXの取引をすることを指します。
運用コストは決して安いとはいえませんが、サービスの質が高いですし、一度設定してしまえば自動で取引を繰り返してくれるので、資産運用初心者の方にもおすすめです。
手動トラリピがおすすめな人
多少の手間を掛けてでも運用コストを削減したいという方は、スプレッドとスワップの優秀な業者で手動トラリピの運用をしましょう。
この場合は、次に説明するステップ2と順番が前後しますが、運用したい通貨ペアを決め、その通貨ペアを取り扱っている業者の中から条件の良い業者を選ぶことになると思います。
手動トラリピ×代用有価証券がおすすめな人
さらに運用パフォーマンスを上げたいとい方は手動トラリピ×代用有価証券をしましょう。おすすめ業者はauブコム証券とDMMFXです。
僕もauカブコム証券とDMMFXで、手動トラリピ×代用有価証券をしています。
初心者には1,000通貨単位で運用できるauカブコム証券がおすすめです。
運用規模がある程度大きい方(1,000万円~)には、コスト(スプレッドとスワップポイント)がより優秀なDMMFXがおすすめです。
ステップ2 運用する通貨ペアを決めよう
ステップ2として、運用する通貨ペアを選びましょう。
通貨ペアを選ぶポイントは次のとおりです
- レンジ相場となっているか
- 運用コストは高すぎないか
- 価格が想定レンジの端に位置しているとベター
順に解説していきます。
レンジ相場を形成している通貨ペアを選ぼう
トラリピをするなら、長期的に見てレンジ相場を形成している通貨ペアを選ぶべきです。
レンジ相場とは、一定の範囲内で価格が上がったり、下がったりを何度も繰り返している状態をいいます。
カナダドル/円は相場が一定の範囲の中で上下しており、レンジ相場を形成しています。
トラリピ向きの通貨といえます。
トルコリラ/円は右肩下がりの相場でレンジ相場にはなっていません。
トラリピには向かない通貨ペアです。
トラリピは、為替相場が上下して新規約定と決済を繰り返すというロジックです。
したがって、レンジ相場を形成している通貨ペアでの運用が大前提となります。
そして、レンジ相場を形成している通貨ペアの中でも、よりレンジの狭い通貨ペアを選ぶようにしましょう。
なぜなら、トラリピは想定レンジが狭い程運用パフォーマンスが上がるからです。
例えば、僕の手動トラリピ設定では、豪ドル/円の想定レンジは60円から110円の50円幅ですが、1セット当たりの最大必要資金は4,200,000円となります。
トラリピの最大必要資金は、想定レンジ内に敷き詰めた注文が全て成立した場合の証拠金+含み損で計算されます。
最大必要資金は、マネースクエアに口座を持っていれば使えるトラリピ運用試算表ですぐに算出できます。
これに対して、ユーロ/円の想定レンジは90円から150円の60円幅で、1セット当たりの最大必要資金は6,270,000円です。
それぞれの通貨ペアで0.1円幅でトラップを並べるという条件で設定を組んだ場合、想定レンジが広いユーロ/円の方がトラップ数が多くなり、必要資金も多くなります。
逆に、ユーロ/円のハーフ&ハーフの片側に300本ではなく250本だけトラップを仕掛けるとした場合には、トラップごとの間隔が0.12円と広くなり、決済頻度が減ってしまうことになります。
- レンジ相場を形成している通貨ペアの中から選ぶ
- レンジ幅が狭い通貨ペアほどトラリピ向き
運用コストが少ない通貨ペアを選ぼう
トラリピにおける運用コストとはスプレッドとスワップです。
スプレッド | 売りと買いの価格差 |
---|---|
スワップ | 通貨ペアの金利差調整 |
ステップ1で、業者を選ぶ際に運用パフォーマンスを重視する場合には、スプレッドとスワップが優秀な業者を選ぶべきと説明しました。
同じ業者で扱っている通貨ペアでも、当然、通貨ペアごとにスプレッドやスワップは違います。
さらに、スワップについては、運用開始時に有利な条件で始められるかどうかもポイントとなってきます。
再度僕のトラリピ設定で説明すると、2022年4月現在、ユーロ/円は売りゾーンの真ん中位に位置しており、しばらくは売りゾーンで推移しそうです。
このユーロ/円の売りポジションのスワップポイントは0円ですので、スワップの条件は良いといえます。
これに対して、豪ドル/米ドルはここ7年程買いゾーンで推移していて、現在も買いゾーンの真ん中位におり、しばらくは買いゾーンで推移しそうです。
この豪ドル/米ドルの買いポジションのスワップは、1000通貨1日当たりマイナス0.05ドル(約マイナス6円)ですので、スワップの条件は悪いといえます。
1,000通貨当たり6円のマイナススワップでも20万通貨保有すれば1日で1,200円の保有コストとなり、無視できない数値となります。
この点、ハーフ&ハーフで運用する以上、相場が買いゾーンか売りゾーンかによってスワップは逆転するじゃないかという考え方もあります。
たしかにそのとおりですが、大事なのはトラリピの運用初期です。
なぜなら、トラリピの運用初期は、決済利益がまだ積み重なっておらず、赤字の状態がしばらく続く可能性が高いからです。
この点については、マネースクエアの公式動画がわかりやすく説明しています。(1分50秒位)
https://www.youtube.com/watch?v=JS1SCk1d5Co&t=6s
トラリピは含み損に耐えつつ決済利益を重ねる投資手法です。
運用開始から数カ月は決済利益より含み損の方が大きくなるのが通常です。
赤字の期間が数年続くことも珍しくありません。
僕の場合は、運用4カ月目の2020年4月に黒字転換しましたが、2022年6月以降の歴史的円安の影響で赤字転落しています。
決済利益がまだ少ない運用初期において、含み損に耐えながらマイナススワップまでガンガン貯まるのは、運用の安定度にも関わりますしモチベーション的にもきついです。
したがって、運用開始時点でスワップの優秀な(プラススワップ又はマイナススワップの少ない)通貨ペアを選ぶことがベターとなります。
- トラリピの運用コストはスプレッドとスワップ
- 日々累積するスワップはバカにならない
- 運用開始時にスワップが有利な通貨ペアを選ぼう
レンジの端に近い通貨ペアを選ぼう
トラリピで、必要資金が最大限に必要となる場面は、仕掛けたトラップが全て成立したときです。(相場が想定レンジ内で推移することを前提)
ハーフ&ハーフの場合でいうと、相場が想定レンジの真ん中からレンジの上限又は下限に到達したときですね。
カナダドル/円でいうと、2022年5月時点の価格は想定レンジの真ん中位です。
このタイミングで運用を開始するとして、必要資金が最大になるのは、レンジの上限に行った場合、又はレンジの下限に行った場合です。
その場合に、保有ポジションが最大となり、含み損と必要証拠金が最大となります。
次にユーロ/ポンドのチャートを見てみましょう。
2022年12月時点で、相場が売りゾーンの真ん中位に位置しています。
このタイミングで運用を開始するとして、必要資金が最大になるのは、一旦レンジ中央に行った後レンジの上限に行った場合、又はレンジの下限に行った場合です。
どちらの場合も、すでにレンジの中央にいるカナダ/円よりは、必要資金が最大化する場面は先の話になる可能性が高いといえます。
長期運用をしますので、いずれはそういった場面にもなることを想定していますが、それまでには決済利益も積み重なります。
トラリピは、最大必要資金の全額を運用開始時に口座に入れておく必要はありません。この点について詳細はステップ4で解説します。
同じような設定でも、運用開始時に想定レンジの端に近い通貨ペアの方が、当初から拘束される資金が少なくて済みますので、運用パフォーマンスが高いといえます。
運用開始時に想定レンジの端にいる通貨ペアほど、必要資金が最大化する場面が遠く、それまでに決済利益が積み重なることを期待できる
複数通貨ペアで運用しよう
トラリピは複数通貨ペアで運用すると、リスクの分散ができ、運用が安定します。
複数通貨ペアで運用していれば、1つの通貨ペアで含み損が最大化していても、他の通貨ペアの含み損が大きくなければ運用全体としては順調といえます。
このように、複数通貨ペアでの運用はリスク分散になります。
また、例えば短期的に円高が続いた際に、買いゾーンにいる通貨ペアのみの運用では決済が発生しずらく、含み損が増え続けることになります。
しかし、売りゾーンにいる通貨ペアも運用していれば、その通貨ペアは含み損を減らしつつ決済利益を重ねているはずです。
このように、複数通貨ペアで運用すれば含み損や決済利益が安定しやすいといえます。
実際に、僕の運用成績を見ても、好調な通貨ペアもあれば不調な通貨ペアもあります。
しかし、全体としてみれば概ね安定した成績になっています。(最近の超円安の影響でマイナスに転落しちゃってますが。。)
分散投資はトラリピに限らず、投資の基本ですよね。
注意点として、通貨ペアの組み合わせをクロス円の通貨ペア(○○/円)のみだけで固めた場合、リスク分散の効果は高くありません。
超円高又は超円安時に運用全体の含み損が膨らみ、ロスカットの可能性が高まります。
通貨ペアの組み合わせの中に、クロス円以外の通貨ペア(○○/米ドル、など)を入れておくと、より、リスクを分散できてるといえます。
- 複数通貨ペアで運用してリスク分散&運用の安定化
- クロス円以外の通貨ペアも運用に入れるとより効果的
おすすめの通貨ペア
これまで読んでいただいて分かるとおり、おすすめの通貨ペアは、どの業者で運用するかによって異なりますし、また、運用開始のタイミングによっても違ってきます。
ちなみに僕が現在運用している通貨ペアは次のとおりです。
豪ドル/円 | 1セット |
カナダドル/円 | 1セット |
豪ドル/米ドル | 1セット |
豪ドル/NZドル | 2セット |
ユーロ/ポンド | 2セット |
「豪ドル」に偏りすぎですね。通貨ペアの選択肢が少ない(頃の)auカブコム証券で始めたためです。
僕が代用トラリピの本格運用を始めた2020年1月以降、次のとおり状況の変化がありました。
- 2021年3月 DMMFXで株担保サービス(代用有価証券)開始
- 2022年6月 auカブコム証券で豪ドル/NZドルを含む6通貨ペアの取扱開始
トラリピは含み損を抱えつつ決済利益を積み上げるという運用の性質上、運用通貨ペアの変更は簡単ではありません。
それでも、含み損の状況をみつつ運用通貨ペアを最適化していきたいと考えています。
ちなみに、現在目指している設定は次のとおりで、2,000万円の運用資金で8セット運用の設定になります。
豪ドル/NZドル | 2セット |
ユーロ/ポンド | 2セット |
豪ドル/円 | 1セット |
カナダドル/円 | 1セット |
NZドル/米ドル | 1セット |
カナダドル/米ドル | 1セット |
ステップ3 仕掛けるレンジを決めよう
運用通貨ペアが決まったらトラップを仕掛けるレンジを決めましょう。
カナダドル/円を例に上げれば、僕は過去20年位のチャートを見て70円から120円を想定レンジとしています。
しかし、過去10年位の相場の動きだけを見れば、70円から110円位を想定レンジと見ることもできます。
前述したとおり、トラリピの想定レンジは狭く設定するほど運用パフォーマンスが上がります。
一方で、想定レンジを狭く設定すれば、レンジアウトする可能性は当然高くなります。
当然のことですが、リスクを取ればパフォーマンスは上がります。
自分の投資スタイルにあったレンジ幅を設定しましょう。
相場が想定レンジを上抜け又は下抜けした場合には、次の要素によりますが、当初計算した必要資金を投入していたとしても自動ロスカットされてしまう危険性が出てきます。
- ポジションが全て成立しているかどうか(為替が想定レンジの真ん中からレンジ外まで推移した場合にはポジションが全て成立している)
- 決済利益の貯まり具合
- 他通貨ペアの状況
そして、自動ロスカットを免れたとしても、損切するか、想定レンジに戻るまで耐えるかの選択を迫られるわけですが、後者の場合には自動ロスカットされないように証拠金の追加投入が必要になるかもしれません。
絶対に自動ロスカットはされたくない人、損切できない人、追加投資が難しい人は、最初から想定レンジを広めに設定しましょう。
ステップ4 運用セット数を決めよう
運用通貨ペアと運用レンジを決めたら、最後に運用の規模を決めましょう。
トラリピに資金をいくら投入するかによって運用セット数が決まってきます。
このブログでは「1円幅の間に1万通貨分の注文を並べる設定」の運用単位を1セットといいます。
(例)
0.1円幅 1,000通貨 1セット
1円幅 1,000通貨 0.1セット
0.1円幅 2,000通貨 2セット
0.2円幅 2,000通貨 1セット
10,000通貨 1円幅 1セット
10,000通貨 0.5円幅 2セット
※太字は僕が採用しているセット数
参考に僕が運用している通貨ペアの1セット当たりの必要資金は次のとおりです。
- 豪ドル/円 420万円
- カナダドル/円 420万円
- 豪ドル/米ドル 504万円
- 豪ドル/NZドル 151万円
- ユーロ/ポンド 248万円
豪ドル/NZドルとユーロ/ポンドの必要資金の低さが際立っていますね。この2つの通貨ペアの想定レンジの狭さからくるもので、トラリピ向きな通貨ペアであることがわかります。
上記以外の通貨ペアの必要資金が知りたい人はマネースクエアに口座開設し、トラリピ運用試算表で算出しましょう。
※必要資金は、ある程度トラリピに精通してくれば自分で計算できますが、説明が長くなるのでここでは計算式等は説明しません。
代用有価証券を使って株やETFを証拠金にする場合、証拠金として評価される額は株やETFの時価の70%となります。
この70%で評価された後の金額で必要資金を計算するようにしましょう。
繰り返しになりますが、手動トラリピは複数通貨ペアでの運用を強く推奨します。
ですので、例えば100万円の資金でトラリピを始めようとする場合には、豪ドル/NZドル単一で0.6セット運用するよりは、次のモデルケースのように通貨ペアを分散して運用することを推奨します。
100万円運用のモデルケース
- 豪ドル/NZドル 0.2セット(単一運用の必要資金30万円)
- ユーロ/ポンド 0.2セット(単一運用の必要資金49万円)
- カナダドル/円 0.1セット(単一運用の必要資金42万円)
- NZドル/米ドル 0.1セット(単一運用の必要資金34万円)
上記モデルケースの通貨ペアをそれぞれ単一で運用した場合の必要資金の合計は155万円ですが、これらを複数通貨ペアで運用することの分散効果により、100万円の資金で十分運用が可能なものと考えます。
なぜなら、いずれかの通貨ペアの必要資金が最大化する場面はあっても、4種類の通貨ペア全てが同じタイミングで必要資金が最大化することは考えにくいからです。
代用トラリピで0.1セット単位の運用ができるのはauカブコムFXだけ。
2022年6月末、そのauカブコムFXに次の通貨ペアが追加され、運用の幅がグッと広がりました。
- 人民元/円
- NZドル/米ドル
- ユーロ/ポンド
- ユーロ/豪ドル
- ポンド/豪ドル
- 豪ドル/NZドル
また、自己責任になりますが、必ずしも必要資金の全額を運用開始時から口座に入れておかなければいけない訳ではありません。
当然、投資は余裕資金でするべきものなので、必要資金を確保した上でそれに応じた設定を組むことになります。
その上で、例えば必要資金の半分を入金して運用を開始し、残りの半分については入金が必要になるまでNISAなど別の運用方法で運用しておくというのは全然ありです。
きちんと想定レンジを広く設定し、複数通貨ペアで運用できていれば、その設定の必要資金の半分の入金で何年間も運用できることは珍しくはありません。
また、順調に決済利益が積みあがれば、結果として最初の入金だけで済むこともあるかもしれません。
繰り返しますが、必要資金の全額を運用当初から入金する必要がないと言っているだけであって、自分の投資に回せる金額を超えた必要資金となる設定を組んでも良いという意味ではありません。
トラリピは非常に多くのポジションを抱える手法であり、保有ポジション以外にも広い範囲に注文を並べておくものであるため、ショック相場時に急激に含み損が増加します。
運用開始時から必要資金の全額を口座に入れておく必要はありませんが、証拠金には余裕を持って運用しましょう。
ここまでの解説で、運用通貨ペア、想定レンジ、運用資金、運用セット数について解説してきました。
最後に利確幅ですが、このブログでは1円幅を推奨しています。
※クロス円以外の通貨ペアの場合0.01通貨幅を推奨
1,000通貨運用で利確幅1円 = 1回の決済利益は1,000円(±スワップ等)
10,000通貨運用で利確幅1円 = 1回の決済利益は10,000円(±スワップ等)
利確幅については、バックデータなどで検証しているサイトによると、ある程度幅を持たせた方がパフォーマンスが上がるという結果が出ています。
利確幅0.1円などの設定は避けるべきです。
他方で、利確幅を広く取り過ぎてしまうと、決済頻度が減ることになってしまいます。
決済頻度が少ないということは、運用の安定度が低い(決済利益の少ない時期と多い時期の差が激しい)ということです。
また、日々チャリンチャリンと決済が発生するというトラリピ運用の醍醐味を味わえなくなります。
したがって、利確幅を広くしすぎることも避けた方がよいでしょう。
狭すぎず、広すぎない、バランスの取れた利確幅は1円前後です。
さらに、このブログでは手動トラリピを推奨していますので、繰り返しの注文入力がしやすいという意味でも利確幅1円を推奨しています。
まとめ
この記事では、僕の手動トラリピの設定を公開し、手動トラリピの設定の組み方を4ステップで解説しました。
- トラリピをどのように運用したいかによって選ぶべき業者は変わってくる
- 手動トラリピ×代用有価証券をするならauカブコム証券かDMMFXがおすすめ
- 通貨ペアを選ぶ際のポイントは、レンジ相場とコスト(スプレッドとスワップ)
- 豪ドル/NZドルなら0.1セット15万円から運用できる
- 複数通貨ペアでの運用がおすすめ(合計0.6セットで100万円から運用可)
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
それでは良い手動トラリピライフを!